「井のいち」の発起人、かつ「井のいち」音楽部門をまとめている田崎はじめさん。この方がいなければ「井のいち」は実現しなかったと思います。そんな田崎さんに井のいちで流れる音楽について伺ってみました。

 

今年で三回目の「井のいち」ですが、過去2回を経験して田崎さんが今一番音楽部門を通じて伝えたいことってなんですか?

 

忙しく働いてふと息をついた時に、そっと聴こえる風の音や空の色を思い出すとなんだか少し元気がでるような…

何か柔らかい音楽を奏でてくれる皆さんです。

 

音楽を聴きながら「井のいち」を愉しみ、境内に流れる時間を過ごしているとスーッと風に触れるような……..
 

"風の音信れ"を感じていただければ、最高かもしれません

 

第一回目は音楽部門に関わる事すべてをお一人で担当していたのでかなり大変だったと思いますが、過去苦労した点、そして何かあれから変わった点はありますか?

 

一回目は、ただ無我夢中でした。振り返ってみるとその経験が後のベースになったと思います。

共感していただけて、手を差し伸べてくれるスタッフの方々が少しづつ増えて来たのはこころから嬉しいことです。

 

 

特に今年は地元の若い音楽家の方が多いですが?

 

今年は地元に縁のある若い演奏家を中心にしています。

オリジナリティのある演奏と音曲を持っている方々で、これからの時代のさきがけとなる「石神井の詩」をそれぞれに紡いでくれると考えています。

 

どうしても音楽の参加者は数が限られてしまいます。何を基準に「井のいち」に出演していただく音楽家を選んでいますか?

 

ジャンルには囚われないように考えています。

音楽に「創造性」があるかどうか、
「内的必然性」があるかどうか、
「うた」があるかどうか…

 

言葉で挙げるとちょっと言い切れない部分がありますが、なるべく決定前に、演奏は聴くようにしています。


限られた時間の中で「井のいち・スタンダード」を持続して維持できる方向で、出演者を選んでいます。

氷川神社さんのご厚意によって、神楽殿というとても古く由緒ある舞台を使わせて頂いていますが、この場所で演奏していただくことをどう捉えていますか?

 

神楽殿での演奏は「芸能の始原の場」と捉えています。また芸能の始原は場所に関わるのではないかと感じています。

石神井という場所にも宿神につながる仮説もあるようです。
 

場所と演奏者が一体となった時…
 

その意味では神楽殿や境内で演奏することは大きな意味があると思います。大げさにいえば「芸能のカミの降臨の場」かもしれません。

 

氷川神社さんのご厚意に感謝しています。

 

田崎さんにとって「井のいち」ってなんですか?

 

たくさんの多様なミクロコスモスが響き合い共鳴していく

 

なにか突き動かすもの…???を感じる有機体になって行けば理想かも知れない。
 

それぞれがそれぞれのためにそれぞれであって欲しいと回を重ねる毎にますます思うこの頃です。

 

昨年は氷川神社「森の図書館」跡地で津田貴司さんの十六夜ライブも企画されました。「井のいち」以外で何か企んでいることはありますか。
 

可能であれば「森の音楽祭」のようなことができればいいなと思います。
ふだんでも風や鳥の聲や梢の葉擦れの音など自然が音を奏でている場です。

森の空気に感応できる奏者さんたちと聴き手で「こもれびの庭」で「森の音楽祭」を実現できたら….いいな

 

今年の来場者の方々にひとこと。
 

なにはともあれ愉しみましょう。「井のいち」でお待ちしています

 

 

田崎はじめ  井のいち実行委員

 

1950年 東京生まれ
1974年千葉大学工学部工業意匠学科卒
グラフィック・デザイナー

 

まちの「気配」を主題に写真を基にした平面の制作も展開している。2011年から"ソラとまち撮り歩きWS"に関わり年一回の「ねりまの風景展」に参画中。石神井公園の三宝寺池畔の写真を基にプロジェクションと音楽や音声とのコラボレーションなども企画。音楽は平素ほぼノンジャンル、スペーシィなピアノ曲を好む

 

取材を終えて

田崎さんはタフ!この写真背景の「井のいち文庫」の建築も田崎さんが率先して作業をしてくれたおかげでカタチになりそうです。作業の休憩中に氷川神社宮司 奥野さん、田崎さんと話しているといろいろな話が聞けてとても面白いんです。

 

取材:町田顕彦 knulpAA 写真協力:STUDIO CUB 千葉泉